『あまちゃん』

あまちゃん』はめちゃくちゃ面白いが、その魅力のひとつが、ちりばめられた小ネタだと言われる。小ネタを入れるのは脚本家の宮藤官九郎の特徴とされているため、インターネット上では「こんな細かいネタ入れるなんて、さすがクドカン」の声が多い。
だが、小ネタをちょっと深読みしすぎてるんでは、という気もする。


たとえば、役者同士の関係性で、「あ、この二人は○○で共演してた!」っていうもの。まあ、ここまではいいんだけど、でもこれを、「こんな小ネタ入れてくるなんて!」て何でもなるのはどうなのかなあ。そりゃ朝ドラでるような役者さんだから、どこかでは共演してるんじゃないのかなあ。尾美としのり小泉今日子が『マンハッタンラブストーリー』でタクシーの運転手やってたっていうくらいのリンクがあればいいと思うけど。まあ線引きは難しいけど。

小道具とかも。
これはクドカンSMAP×SMAPで言ってたけど、全然意識してなかったものも、小ネタとして認識されてしまってたらしい。
宮本信子が演技している後ろの箱か何かに、マルサと書いてあったらしく、「これは『マルサの女』だからだ!」と話題になったらしい。クドカンは全然そんなつもりなくて、全くの偶然らしく、スタッフから聞かされて驚いたという。深読みされるのは嬉しいらしいけど。

僕もオマージュ、とか、引用、とかは大好きなので、つい思ってしまいたくなるんだけど、読みすぎるのも問題あるんではなかろうか。
それは、元ネタの意識ばかりしてしまって、本篇の面白いところを流してしまうんではないかってこと。

それを思ったのは、太巻こと荒巻太一の映画の企画書に載っているタイトルについての言及をネットで見たとき。
そこには、映画祭の上映作品として、「女子大生と日本刀」「セーターを編む」なんていう映画のタイトルが並んでたんだけど、それに対して、鈴鹿ひろ美役の薬師丸ひろ子主演の「セーラー服と機関銃」と水口琢也役の松田龍平主演の「舟を編む」が元ネタだ、っていうコメントがあったんだよね。でも、それだけで。

だけど、これってすごく面白くないですか。
セーラー服の女子校生なら絵になるけど、女子大生って。女子大生私服じゃん。見分けつかないよ。それに日本刀って。
「セーターを編む」もだよ。「セーターを編む」って。普通。それ普通。「舟を編む」なら辞書をつくる比喩になってるけどね。編み物じゃん。

他にも、アキが出演するかもしれない台本が並んでたところでも「着信ナシ」ってものがあった。「着信アリ」は確かに太巻のモデルであろう秋元康原作だ。でも、着信ナシだったら怖くないじゃん。表紙はホラーっぽかったのに。

なので、小ネタのネタたる面白い部分も楽しんでいいんじゃないかと思った。
まあ、ネットでは情報を教えるためにそういうことを発信してて、しかもそういうのが目立ってて、ちゃんとみんな面白がってもいるのかもしれないけど。
僕も情報はへえ、って思うし、ありがたいです。

ネタは多いけど、作中に出てくる「分かる奴だけ分かればいい」っていう言葉は、「分からなくても十分面白いんだよ」という意味だと思っている。拘泥しすぎないでいいんじゃないかなーとか。
ともかく『あまちゃん』は面白い。あと一カ月だけど、どうなってしまうんでしょうか。

NHK連続テレビ小説 あまちゃん 能年玲奈 featuring 天野アキ 完全保存版

NHK連続テレビ小説 あまちゃん 能年玲奈 featuring 天野アキ 完全保存版